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監視や議論で「よりよい制度に」―産科補償制度でシンポ(医療介護CBニュース)

 「陣痛促進剤による被害を考える会」は4月10日、「産科医療補償制度における医療事故の原因分析と再発防止のための課題」をテーマにシンポジウムを開催した。同制度原因分析委員会の委員や弁護士らが講演したほか、参加者を交えた質疑応答も行われた。講演では同制度の問題点などが指摘され、積極的な議論や監視を通じて制度を育てていくべきだとの声も上がった。

 第1部ではまず、産婦人科医の我妻堯氏が講演し、産科の医療事故は「計画分娩の概念の拡大と乱用によって起こっていることがほとんど」「子宮収縮剤の投与などで自然分娩と同じ分娩ができるとの妄信が横行している」などと指摘した。また、診療所では緊急時の対応が困難なため、診療所による分娩の再検討や、病院・分娩室のオープン制を検討する必要があるとの考えを示した。

 愛育病院の加部一彦・新生児科部長は、「現状の事故調査の在り方は非常に未熟」との認識を示し、現場が「教訓」にできる事故調査や報告書の在り方を追求する必要性を強調した。また、医療側が事故を初めから「コンフリクト」(紛争)と捉えて対応していることを問題視し、「コンフリクトは前提ではなく、回避すべきもの」と指摘した。

 原因分析委員会の委員を務める隈本邦彦・江戸川大教授は、「医療側が身内を厳しい目でチェックする初めての試み」と、同制度に期待感を示した。一方で、脳性まひの「回避可能性」に原則言及しない同制度の原因分析の在り方を疑問視したほか、最大年800事例をチェックし切れるかや、効果的な再発防止策を打ち出せるかなどの点に不安感を示した。

 弁護士の松井菜採氏は、医療問題弁護団の分娩事故判例研究会が分析した判例を基に、カルテなどの記録や説明義務、医療提供体制などの問題点を指摘した。その上で、同制度の原因分析を充実させるために患者側に求められる対応として、▽原因分析を「お任せ」にしない▽意見、疑問、質問を原因分析委員会に確実に伝える―などを挙げた。さらに、同制度を監視し続けることで大きく育てていくべきだとの考えを示した。

 第2部のパネルディスカッションでは、講演者らが会場からの質問に答えた。シンポジウムを傍聴した原因分析委員会の岡井崇委員長は、同制度の欠点として、▽(医師などへの)ペナルティーがない▽補償額が少ない-の2点を挙げた。その上で、「裁判で争っても医者は言うことを聞かない。原因分析委員会で専門家が集まって判定し、『間違っている』と言えば聞いてくれるだろうと望みをかけている」と述べ、それが事故の再発防止につながるとの認識を示した。

 司会を務めた「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」の勝村久司氏は、これまで裁判になったのは「あまりにひどい事例」ばかりだと指摘。その上で、「産科医療補償制度や産科医療全体が信頼されるか否かは、あまりにひどい事例にどう対処するかに尽きると思う」と述べた。


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